◆「販路拡大で、リスク分散」を

    事業概況と2年産展望(日本農産情報)



 米穀の現物取引では、年間取り扱い250万俵(元年度)と民間企業でトップの実績を誇る(株)日本農産情報。新型コロナ渦で、経験したことのない需給環境下にある米穀業界では、「リクス分散」が生き残りのキーワードとなっており、販路拡大が課題のひとつ。同社の事業概況と令和2年産米の展望を聞いた。


事業概況と仲介のあらましを教えてください

 創業は1979年、昨年40年周年を迎えました。資本金は8,000万円。登録顧客は、全国の米卸・小売・出荷団体・集出荷業者・農協・生産法人・実需者など2,000社余りで、年間利用者1,300社、常時利用者700社ほど。会社の人員は、代表を含め22名。うち営業担当は、東京本社7名、東北支社4名、大阪支社4名、札幌支局1名の16名体制。取扱品目は、うるち米、もち米、酒造好適米、特定米穀、外米、包装容器など米穀業界が取り扱う商品は全て対象です。仲介手数料(1俵当たり)は、買い65円、売り75円となっています。

 会員制(登録料・年会費とも無料)で、お客様には当社のホームページの「売り買いメニュー」を閲覧できるID/パスワードを発行し、売買情報を募って仲介=成約させます。成約後に「販売・仕入契約確認書」をFAXし、買い方から受渡しの2日前に全額を当社に送金していただき、受渡しが済み次第速やかに当社から売り方に決済するという、「焦げ付き」が発生しないシステムを採用してることで信頼を得ています。また、個別の売り買い情報を全ての営業担当がリアルタイムで共有し、商談に結び付けていきます。売り買いが「メニュー」という形でお客様にフィードバックされることが、当社の取扱量が群を抜く理由のひとつと考えています。


営業スタイルはどうなっていますか?

 会員には営業担当が1人付きます。売り買いの注文の他に、市況確認やお客様の近況・ご要望など積極的に情報交換していただくことをお勧めします。当社の営業担当はお喋りが大好きです。「痒いところに手の届く」をモットーに、皆さまの分身となり、1俵当たり・65円(買い)、75円(売り)で雇える販売・仕入担当になります。


今後重視する取り組みは何ですか?

 商人集荷、中堅・大手小売店などの新規会員の登録は順調です。系統卸との取引も格段に増えました。とくに系統卸との絡みでJAを含めた産地からの売りに期待しています。当社取引のほとんどはスポット契約ですが、中・長期契約の契約も同時に進行しています。また、生き残りをかけて生産推進しているブランド米やこだわり米などを積極的に仲介していくことも検討しています。当社の閲覧アカウントは1,000件/1日ですので、認知度も高まり、販売に貢献できると考えています。


元年産米の終盤戦をどう見ていますか?

 政治家の言い訳ではありませんが、「想定外」の一言でしょう。主力銘柄の過剰は2月の段階で把握していましたが、新型コロナ禍は予想外でした。市中取引は、産地業者や実需者からの売り物が溢れて続落しましたが、買い手があったことが幸いしました。市中取引が機能したことになります。売り買いともに胴体着陸はさせつつも、炎上しなかったと感じています。新型コロナ禍による業務用途の回復は不透明です。地方部では、前年の7~8割まで回復し、これから期待できるとのことですが、大消費地圏では滞っており、首都圏では5割にとどまるとも伝わります。第2波によるこれからの影響も計り知れません。


2年産米への展望は?

 産地業者・実需者は、余分な在庫も契約枠も苦しみながらほぼ消化・処分しましたが、「我慢できる範ちゅう」という但し書き付きです。2年産米における市中取引の買い注文は「当用買い」となり、中・長期契約は控え気味となるでしょう。売り物が常にあり、都度に買いを待つという展開が想定されます。産地業者からは、「上値は追わない。早く売り抜ける。利益は少しだけあればよい」との声も出ています。集荷業は、融資された資金をシーズンに何回転させるかが肝です。2年産米は、ダブつきによる下げ相場を窺いつつ、「傷の少ない選択肢」を前提とした相談が増えています。また、JA筋からは、「売れる価格や条件等」の問い合わせが入っています。一方、某大手卸の担当は、「今期は価格も厳しくなるし、実績枠を提示されても消化できない」との見方を示しています。


コメ業界の展望は?

 コロナ禍による需要の変化は経験がないだけに厄介です。また、今回の市況下落は業務用途だけでなく、家庭用途の産地銘柄にまで及んだことにも注目しています。業務用途のかなりの部分が家庭用途と捉えられがちな主力銘柄の検査玉によって賄われていたためです。2年産米は地盤が緩んだ状態でスタートすることになるため、「ずっこけても転ばない杖」が必要でしょう。「業務用途がダメ」ではなく、「販売準備を怠ることがダメ」だと認識すべきです。販売減で実需者との関係が希薄になりつつある現状の環境を踏まえると、需要回復に乗じて起こる競争に対応できる業務用途あるいは家庭用途で、差し替えが利く仕入れの工夫が有効でしょう。販路の拡大もそこにこそチャンスがあると考えています。当社をチャンネルのひとつとしてご利用していただければと考えています。資料は、当社ホームページの「お問い合わせ」からご請求ください。


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