-2007年6月29日-

◆大手卸が系統離れ?(西日本)

 米穀業界では、19年産米に向けた全農の販売手法が注目されているが、その一方で18年産販売における卸業者の“離反”も色々な場面で話題になっている。

 年間数十万トン規模の米を調達する西日本大手A卸では「詳しい集計データは出していないが、18年産米の系統仕入は前年産に比べ10%程度が減少した感触を持っている。外食、中食向けの18年産使用が7月から拡大することで、最終的には不明瞭だが8%からMAX10%は減るのでは。理由は単純にリベートの廃止。スケールメリットの恩恵がほとんど無い取引は、大きな買い物をする意味が持てない。減った分はJAや大規模な生産者グループから直接仕入たり、現在の話としては政府古米をかなり手当している。19年産米に向けては仕入の大きな幹としてのポジションは変わらないが、産地からの手当ルートの拡大は引き続き試みていく。単独でカバー出来ない部分が友好な商社にお願いする時も」(仕入本部)との対応を採っている。

 また近畿圏を基盤とする有力B卸でも「系統仕入を基本とする方針は19年産でも同じだが、産地や銘柄によっての格差は出てくる。現行の18年産でも表れているが産地との直接仕入の拡大で、産地県によっては系統手当が極端に減少したところも。当社クラスでもこうした変化なことで、もっと規模の大きい卸ではさぞかし…」(仕入課)という。


-2007年6月28日-

◆山手食糧、本店機能を7月に移転

 東京山手食糧販売(協)(片桐久之理事長/東京・新宿区)では、7月3週目を目途に本社機能を杉並区内の自社ビルに移転させる。移転先は6月末に竣工が予定される山手荻窪ビルで、7月17日から新本社での業務をスタートさせる。新たな自社ビルの竣工に伴って、新宿、中野、杉並区内に置かれた営業所機能も統合させる。

 今回の経緯については「米穀部、事業部、営業部などが入る山手新宿ビルは手狭な事で、以前から新たな本社ビルの必要性は出ていた。当社が保有するビルのうち老朽化が激しい荻窪ビルを取り壊し、その跡地に新たな自社ビルを建設し本社(本店)、営業所を合併させる形で入居することになった。移転後の新宿事務所はリニューアル工事を行い、新たなテナントさんにお貸しする予定」としている。

 新事務所の概要は以下の通り。▽住所=〒167-0034東京都杉並区桃井2-2-1▽電話=総務部03-3301-8053・米穀部03-3301-8031▽FAX=03-3301-8036。


-2007年6月27日-

◆早期4県コシ、系統販売計画4万5千トン

 徳島・高知・宮崎・鹿児島4県のJA系統による19年産コシヒカリの集荷・販売計画は4万5,190トン。各県の内訳は▽徳島=1万1,500トン▽高知=8,500トン▽宮崎=1万7,190トン▽鹿児島=8千トン。

 今年は「作柄が良さそう」(産地筋)とされ、各県とも集荷以上に販売面での注力が必要な展開が見込まれる。
 その他の早生品種は▽徳島ハナエチゼン=1千トン▽高知ナツヒカリ=800トン▽宮崎さきひかり=200トンなど。


-2007年6月26日-

◆特選さぬき米、首都圏で販売(JA香川県)

 JA香川県はこのほど、首都圏でもKブランド「特選さぬき米」(ヒノヒカリ・はえぬき)の販売を始めた。東京・虎ノ門パストラルでは5~6月の2カ月間、館内のレストランや宴会場で使用する米に特選さぬき米ヒノヒカリを採用。

 特選さぬき米は食味値80以上などに設定された米で、Kブランドはかがわ農産物流通消費推進協議会が認証した農産物・加工品が対象となる。レストランなどでの取扱いは5トンの計画。その他、管内では2kg袋の小売も行っている。

 また、6月からは特産品ショップ「香川・愛媛せとうち旬彩館」(東京都港区新橋)でも特選さぬき米の販売を開始。「東日本の米に慣れている関東で、西日本産の米は別の特徴があり、好評を得ている」という。


-2007年6月25日-

◆WTO座礁、二国間交渉が主役に

 WTO交渉は、交渉妥結の突破口を探る役割を担っていたG4(アメリカ、EU、ブラジル、インド)の閣僚会合が決裂、年内妥結の可能性は非常に薄くなった。来年はアメリカ大統領選挙の年であり、実質的な交渉の再開は2年先になるとも見られている。

 今後の貿易交渉はFTA、EPAなどの二国間協定に焦点は移る。すでに交渉が始まっているのは韓国、インド、ベトナム、オーストラリア、スイスだが、2国間協定では全品目の関税に上限を定めようとするような議論は避けやすいことや、日本のコメ市場に決定的な影響を及ぼしそうな大輸出国は見当たらないことから、輸入米によって国産米が大きな打撃を受ける危険はひとまず遠のいた。


-2007年6月22日-

◆中規模農家が減反を止めるケースも(品目経営対策)

 農水省は6月20日、5月末現在における19年産品目横断的経営安定対策の加入申請状況を公表。米は4~5月申請分が6万8,371ha、合計で21万9,831ha(昨年秋の麦加入受付期間における米も扱う申請者分を合わせたもの)となった。

 国による加入目標約37万5千haに対し6割の進捗。関東の某JA関係者は、「田植えなどの作業が集中したことや、代筆禁止で代理申請に手間取っているが、事務所から催促されてもおり、6月中には行いたい」と話している。

 一方、同対策により生産者が生産調整への取り組みを図るかどうかについては功罪を指摘する。「麦を作っている農家は品目に入らないといけないということで生産調整に取り組むところが出る一方で、中規模農家(1町程度)のなかで認定農業者になれず、集落営農にも入れないところが止めている」とされる。結果として減反に効果があったかどうかは、まだ判断出来ない段階のようだ。


-2007年6月21日-

◆ベトナム産米、残留農薬で検査頻度を引上げ(厚労省)

 厚生労働省は先月、検疫所のモニタリング検査の結果、ベトナム産うるち精米から農薬アセタミプリドが基準値0.01ppmを超える0.03ppm検出される食品衛生法違反の事例があったとして、残留農薬のモニタリング検査の頻度を5%から30%に引き上げる対応を決めている。違反事例は、破砕したうるち精米で、輸入業者はA商社。

 輸入米関連では、4月にもヨーロッパで安全性未審査の遺伝子組替え米の混入が報告された製造・輸出3業者の中国産米加工品(米を主原料とするもので、米粉、ビーフン、はるさめ等、未加熱又は加熱の程度が低いものとする)の検査頻度を30%に引き上げる対応のほか、家電Bメーカーが輸入した台湾産米(うるち精米)から農薬メタミドホスが基準値0.01ppmを超える0.04ppm検出されたとして、検査頻度を30%に引き上げる対応をとっている。


-2007年6月20日-

◆ホクレンパールライス、炊飯事業に参入

 道産米の好調さを背景にホクレンの事業も順調のようだ。4月1日付けで、「ホクレンパールライス」がJAさっぽろから炊飯卸会社のJAサッポロライスを継承する形で炊飯事業にも参入している。

 社名を「サッポロライス」に改称して、従業員85名もそのまま引き継いで再スタートを切っている。「パールライスの精米販売の拡大と(コメ全体の)消費拡大、その相乗効果を図っていく」(パールライス・幹部)のが狙いという。

 家庭用で消費が減少しているなかで、外食、中食等の業務用世界で販売拡大はまだ見込めるとの判断もある。ここで吸収した業務用向けの販売ノウハウを、道外での販売に生かす狙いも。昨年度の売上高は13億円弱だが、2009年度には15億円(精米使用量1,800トン)を目標に取り組む方針。


-2007年6月19日-

◆持帰弁当に玄米メニューを投入(ハークスレイ)

 西日本地区で持ち帰り弁当店「ほっかほっか亭」を運営する(株)ハークスレイでは、6月14日から玄米を使った「玄米豚トロスープご飯」を発売した。九州地区を除く、西日本地区の同社管轄全店で販売されており、「消費者の健康志向の高まりを受けて、玄米第1弾メニューとして14日から投入した。

 今後は各店舗における新メニューの動きを見ながら、7月以降に第2弾、第3弾と継続的な新メニューの発売を考えていく」(本社)としている。玄米メニューでは4月から各店舗で40円の追加料金で、白飯から玄米に切り替える対応を実施している。

 加えて5月からは同社ホームページ上において、玄米パック商品“味わい玄米”の販売も始めている。価格は200g入り×5食入り1,200円(1食当たり240円)で、「圧力釜の手法で炊きあげてそのままパックしたため、玄米独特のパサパサ感を払拭することが出来た。玄米はビタミンEが白米の7倍含まれ、またミネラル、食物繊維も抱負な健康メニュー」という。

 5月からのホームページ上での玄米販売の状況については「詳しい販売データの集計は今後になるが、店舗での弁当を含め玄米取組みを拡大していきたい」(同)とのこと。


-2007年6月18日-

◆沖縄ひとめ、本島販売▲100円の2,280円

 沖縄・八重山産ひとめぼれの本島販売は、「15日に店頭に着けるスケジュール。販売開始はそれぞれの店が決める」(県内卸筋)とされる。小売価格は5kg2,280円が目安だが、バラつきが出る模様。昨年は2,380円で統一的に始まっており、目安価格は100円下げた格好。

 過剰感の解消を目指したもので、18年産1期作が売り切れないうちに2期作が出回り、19年産1期作の始まりまでに前年産2期作の処分が終わらないという流れを改善するため。入庫している玉は、「1等米。今後は2等米も出てくると思うが、見面など品質は昨年に比べ良い」との評価。仕入れは、「梅雨とはいっても小雨傾向で、刈り取りは順調のようだ」とされ、支障は出ていない。


-2007年6月15日-

◆宮崎コシ7/22収穫開始、短期型予想(県中)

 宮崎コシヒカリの生育は「あと1週間程度で早いところが穂揃い期に入る。収穫は7月22~23日頃から始まり、ラニーニャの影響で梅雨が早く上がれば短期型になる」(県中部地区)と予想している。

 その他(1)5月20日~6月頭にかけて天候に恵まれたため、中干しが十分にでき倒伏懸念がない(2)茎数が平年より7~8本多く、収量が増える見通しで、作況は103~5も考えられる(3)日中は気温が高いが、朝晩は冷える-など今年は好条件で推移しており、産地筋の品質・食味に対する期待は大きい。台風・収穫時期の降雨などがなければ、7月中に相当量が出回りそうだ。

 農家によるコシヒカリの出荷契約は約22万袋(30kg)と前年に比べ若干減。18年産米の集荷価格が安かったことが響いていると見ており、19年産米の設定を気に掛ける。

 他地区の関係者からは、前年より安くなるとの覚悟も聞かれるが、農家の判断はスタートで7千円(同)ラインを守れるか、あるいは切れるかによって大きく異なるという。事前の話が出るのは、7月上旬になりそうだ。販売面は「知事効果で、買い手卸が例年以上に取扱いを増やすという話が伝わる」と期待される。


-2007年6月14日-

◆きらら1万4,090円、239円高(定期入札)

 6月13日、コメ価格センターで行われた18年産の第39回入札は、定期注文取引に7産地品種銘柄3,223トンが上場され、うち5産地品種銘柄1,926トンが落札となった。落札率は59.7%。

 落札平均価格(裸、消費税抜き)は、きらら1万4,090円(前回比+239円)、ほしのゆめ1万3,858円(同+157円)、ななつぼし1万3,718円(同+129円)と、北海道産3銘柄がさらに続伸、本年産の高値水準だった昨年12月~今年1月価格まで戻した。

 申込は各9~14業者で、落札はきらら・ななつぼし各3業者、ほしのゆめ1業者。必需筋の応札と見られるが、きららは上場削減、ほしのゆめ・ななつぼしは最終上場(見込)という条件も影響したものと見られる。

 その他、秋田こまち、新潟岩船コシに補充買いが見られたが、新潟一般・佐渡コシヒカリには応札がなかった。


-2007年6月13日-

◆ラニーニャ秋まで、豊作の可能性と高温障害の懸念

 気象庁はこのほど、「ラニーニャ現象が発生、秋まで続く可能性が高い」との予測を公表した。暑い夏が見込まれ、水稲にとっては高温障害などの品質面への影響が懸念される一方で、収量面では豊作の可能性が出てきた。

 ラニーニャ現象が発生している時の日本の夏は、(1)気温は、東・西日本で「平年並み~高い」傾向(2)降水量は、東・西日本太平洋側と南西諸島で「平年並み~多い」傾向-が見られる。1949年以降12回発生し、うち夏の季節に発生していたのは16回。その年の豊凶は8勝4負4分。平均作況102.0となっている。


-2007年6月12日-

◆7月政府米販売枠6万トン、17年産解禁も決定

 6月11日、農水省は7月以降の政府米販売方針について、(1)提示枠6万トンを目安とする(2)17年産販売を解禁する-の2点を決めた。販売が制限され1千円以上急騰していた16年産米も一気に販売枠が拡大、6月の応札数量なら1倍に満たず、予定価格まで拾われることになる。居所修正は必至の情勢。

 年間販売数量については、基本指針の買入数量と同数の40万トンを仮置きし、作柄など需給変動をに応じて今後指針で見直す方針。月間販売数量は、既に指針に明記されている年間販売の12分の1(3万トン目安)を念頭に、過去の入札販売実績(提示数量の半分くらい残が発生する)を参考にして2倍の6万トンを目安に設定した。
 さらに17年産の販売を7月から解禁することも決定した。販売メニューを公告する6月20日過ぎまでに販売枠を検討する。各銘柄100トンなら7千トン規模、せいぜい倍までの範囲か。その他、7月からは既報のように車側渡し販売が制限される。産年・産地及び品種銘柄が同一の米穀を500トン以上落札した場合の引取期限の延長は、従来通り実施する。


-2007年6月11日-

◆南国そだち20日頃出穂、水不足影響なし(高知)

 高知産早期米のトップを切る南国そだちは、今月20日前後の出穂が見込まれ、平年ペースで推移している。早期米全体の生育は順調で、一般のニュースで取り上げられている水不足も問題はない。

 早期米は田植えが既に終わっていることや、作付地帯が平野部で河川が多くあることも大きい。普通期米が作付される山間部は「高い地域で谷川から水を引いているケースがある。水量が細っているところは若干影響が出るかもしれない」(関係者)といわれる。

 一方、香川県では作付の多いヒノヒカリの田植えが一部で始まっている。「15日以降の遅植えを指導しており、本格化するのは来週に入ってから」の見通し。農業用水については「このままの状況が続くと少し心配。ただ。水系がマチマチで、一概にどの地域がどうこういえない」とされ、把握が難しい状況のようだ。


-2007年6月8日-

◆農業者取組は2,500トン(19年産加工用米)

 地域流通農業者と加工需要者による19年産加工用米の取組計画は約2,500トンで、前年産米に比べ少し増加している。
 地産地消の取組の一環として16年産米から始められたものだが、地域の需要者と契約を結ぶことになっているためか、大幅な増加には至っていない。計画はもち米が6割強を占め、この趨勢は変わらない。

 一方、全国出荷団体による取組計画は今年1月に認可されている。変更がある場合は6月末までに申し出ることになっているが、いまのところ話は出ていないようだ。全農分は17万トン。出荷契約は順調に積み上がっていると伝わる。


-2007年6月7日-

◆沖縄ひとめ、▲300円の1万6千円で決定

 沖縄ひとめぼれのJA系統販売価格が1等1万6千円(前年比▲300円)で決まった。7月10日までの那覇港渡しで、等級間格差は前年と同じ1等対比で2等▲500円、3等▲1,300円。卸筋への供給数量は前年並みの1,600トン強が見込まれている。

 某販売業者は販売価格から推定して「末端価格が5kg2,200~300円になるのだろうが、果たしてそれで売れるのか。昔と違い消費者も県内産米に対するこだわりがない」とされ、厳しい展開を予想する。

 検査は5日段階で3回実施しており、概算で▽1回目=11トン▽2回目=10トン弱▽3回目=11トンの計30トン程度。等級は2回目で半分弱の2等が出たが、それ以外は1等の格付け。2等の要因は着色粒によるもの。

 ただし、カメムシ被害対策として「ライスセンターの荷受けは生籾を擦って分けている上、以前に比べれば被害が少なくなってきている。生産者の意識が上がっていることと、今年は天候が良かったため」(関係者)とされる。梅雨に入っているものの、あまりまとまった雨が降っておらず、収穫は順調に進んでいる模様。


-2007年6月6日-

◆18年度MA一般検査50万トン、相当量が次年度へ

 農水省はこのほど、18年度MA一般輸入米(SBSを除く)の産地種類別の検査結果を公表した。
 検査数量は精米41万4,018トン、砕精米8万2,202トンの計49万6,220トン。事故品126トンは含まない。
 18年度の契約数量と一致しないが、これは18年4月~19年3月までに検査した数量で、今回の公表には17年度契約分も含まれている。ただし、各年度とも丸米(玄米を含む)は46万トン前後、砕精米は11万トン前後が輸入されており、次年度への持ち越しが相当量出ているものと推定される。

 18年度契約の豪州・米国丸玄米は4月以降にズレ込んだ格好。また、タイ産もち砕精米の不足対応で輸入されたベトナム産米は、一部需要者に使用を敬遠されたが、検査の主な平均値は▽水分=13.9%(タイ産比+0.6%)▽うるち精米粒=6.6%(+0.8%)▽完全粒=2.2%(+2.1%)。


-2007年6月5日-

◆19年宮崎コシ販売計画2,200トン(主食集荷)

 宮崎県と県主食集荷(協)は5月31日、取引卸を招いて「産地報告会」を開催した。参加者は24名。

 今年は児湯郡と西都市の圃場を視察、「作柄のバラつきがあり、平年作はあるだろうが、一概に豊作ともいえない」(関係者)とされ、4~5月の日照時間の違いなどが生育に表れているようだ。今後の天候次第で作柄・出回り時期が変わってくるため、これからの動きが重要になる。

 一方、卸サイドの需要については「米全般の価格帯が一段と下がっており、売れる価格が決まっている。コシヒカリのスタートで5kg2千円以上では動かない。また、雑品種(さきひかりなど)への需要が強いが、作付が増えない。このミスマッチが大きい」とされる。コシヒカリの販売計画は前年実績の2,200トン。JA系統と異なり、全集安心米の取り組みは行わない。


-2007年6月4日-

◆コメの表示、もっと多様に(規制改革会議)

 内閣府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は「規制改革推進のための第一次答申」で、コメの表示制度の見直しについてかなり踏み込んだ内容をまとめた。

 答申が現行制度で問題としているのは、 (1)農産物検査法による検査を受けたコメだけしか産地、年産、表示ができない、(2)各都道府県ごとに設定されている「産地品種銘柄」以外のコメは品種表示などができない、の2点。

 コメ表示のありかたについてはJAS関連の機関でも、DNA鑑定などを根拠として表示が可能かどうか検討されている。しかし、同答申では「単に農産物検査以外の根拠をもって品種表示が可能か否かだけの検討ではなく、将来的な広域農業経営や高付加価値商品開発によるブランド化を見据え、魅力ある商品開発を可能とする観点からも検討」し、本年度中に結論を得るよう督促している。

 表示以外のコメで関連では、(1)民間企業が育成した品種の普及推進、(2)品種登録審査期間の短縮、(3)加工用米(生産調整カウント分)は必ずしも既存の集荷団体を通す必要はないことの周知徹底などを、いずれも本年度中に措置すべき案件としてとりあげている。


-2007年6月1日-

◆出穂後の高夜温を算定要因に盛り込む(平年収量)

 農水省は5月30日、第4回水稲平年収量検討会を開催した。今回は事務局から平年収量への反映手法のたたき台が示され議論、基本的に了承された。

 主要な改正点は▽気温の上昇トレンドを取り込む▽登熟期の高(夜)温は収量にマイナスで、これを反映させる-という2点。次回(6月22日)は委員から出た修正点などを加え、「温暖化に伴う米生産への影響(最終版)」と「今後の平年収量への反映のあり方(案)」が提示される。19年産米で検証し、20年産米から採用する。平年収量を基準にして、作付面積や集荷円滑化対策の発動が行われるため、基準見直しの影響は大きい。

 議論の整理は(1)気温(2)気温日較差(3)北日本の暑夏及び冷夏(4)降水量・日射量(5)台風(6)二酸化炭素-について気象(大気)の変化と米生産への影響をまとめた。たたき台はこれらの項目ごとに、現状の手法と今後の考え方を示したもの。

 論点となったのは気温の項目。九州における出穂後の高(夜)温は「登熟の阻害要因となるため、品質面のみならず、収量にとってもマイナスの要因となっている」と明記されたこと。高夜温が収量減につながるかが次のたたき台への前提となるため委員の認識の一致が求められたもの。過去の文献の説明なども行われ、文言など修正点があるものの、反映させることで固まった。

 考え方は【現状】気温のデータは出穂前後の合計値で計算。高(夜)温になる地域ではマイナスの方向に補正する情報が表れていない。【今後】出穂後の気温データを重視し、西日本などでは気温が高すぎる場合に収量減になるように反映させる。これにより西日本などでマイナスの方向に補正されることになる。残りの項目は、現状を引継ながら使用している補助変数の幅を拡大することなどを検討するとした。




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