-2007年9月28日-

◆表示調査10月10日~12月末に実施(農水省)

 農水省は、19年産米穀等の表示に関する「特別調査」について、10月10日から12月末の期間に実施することを決めた。

 今年は「銘柄米」に加えて、品種名などを表示した「ブレンド米」を調査対象に加える。調査対象は、小売販売業者(量販店・小売店、約3千業者)、卸売業者。また、19年産の銘柄米を買い上げ、品種判別(全国約500商品)を行う。

 調査項目は(1)表示根拠[表示事項・遵守事項の確認](2)根拠確認[内容の一致・表示根拠の確認](3)品種判別[DNA分析]。調査の結果、不適正表示の疑いが認められた場合は遡及調査を行い、JAS違反の事実が確認されれば厳格な措置を講じる。

 調査対象の地域別規模は、▽関東=約780業者(品種判別約160商品)▽北陸=201業者(32商品)▽東海=約230業者▽中四国=約460業者(約70商品)など。


-2007年9月27日-

◆事実認識に誤り、「法廷の場で主張していく」(トーヨー)

 (株)東洋精米機製作所とその子会社である(株)トーヨー食品は9月26日、経営状態が健全であるように装って融資を受けていたとして、三菱東京UFJ銀行など3金融機関から約22億円の損害賠償を求めて、和歌山地裁に提訴されたことについて記者会見を行った。

 冒頭、東洋精米機の雑賀社長がこれまでの経緯について説明に立ち、今回3銀行より提訴されたことは事実だが、その訴状または新聞記事に書かれている重要な事柄はことごとく不実である。ひとつは「小切手を振り出した取引先は経営破たんしている」となっているが、今日でも事業を継続していること。トーヨー食品も同様。また「健全経営に見せるため無価値の小切手を当座預金に計上して粉飾決算をした」とする件に関しては、当座預金に計上したのは「それが正しい処理だ」と会計事務所の判断によるもので、粉飾決算に該当しない。さらに小切手は無価値ではなく、今なお順次換金されている――など事実認識に誤りがあると反論。「法廷の場できちんと主張していく」考えを明らかにした。

 トーヨー食品の前田社長も「親会社が保証している分はすべて返済している。トーヨー食品の運転資金枠の問題で、銀行側が返して貰ったあとは貸せないと言ってきたため、その後その運転資金を使いもせず返しもしない状態になった。返す意志がないわけではなく、話し合いをしている間にこういうことになってしまった。いずれ裁判の中で主張すべきは主張していくことになる」と説明した。


-2007年9月26日-

◆コシヒカリ、地合い固まらず

 コシヒカリの地合いがまだ固まらない。先週末から25日にかけて、新潟一般コシが1等産地置場1万5千円割れ、関東着1万5,100~200円となったほか、茨城・栃木コシが50円下げ1等置場1万2,450円、1万2,350円、三重コシも同1万2,800円と1万3千円を割っている。

 相場は安い関東コシだが、食味は「やはりB銘柄より上」(ユーザー)との指摘もあり、置場1万2千円くらいの未検が外食筋に引かれている。

 関東産こまち、ひとめは1等置場1万2,500円以上とコシより高いが、秋田産こまち(25日時点で1等関東着1万2,900円)、山形こまち(同1万2,700~800円)が売り下がってくれば、こちらに需要が移りそうだ。


-2007年9月25日-

◆魚沼2万3,500円、岩船・佐渡1万6,000円?

 19年産新潟コシヒカリの全農相対価格(東京基準、1等裸)は、一般1万5,800円に続いて、魚沼2万3,500円(前年同期比▲500円)、岩船・佐渡1万6,000円(▲2,000~▲2,300円)で取引先に通知された。

 しかし、一部地域では、「通知価格を破棄。追って再連絡」との案内が出されるなど混乱も生じている。産地は上記価格をアナウンスしていたとの情報があり、詳細は不明。「横やりが入ったのか?」(米卸)などの憶測を呼んでいる。

 なお、先週19日のセンター入札後に一般契約価格が通知されている。入札上場玉は、落札平均価格(指値)に連動した上で100円加算(※印の銘柄)、未上場玉は加算なし。適用期間は次回改定まで。東京基準または大阪基準、1等裸。消費税抜き。▽茨城コシヒカリ※1万3,652円▽千葉コシヒカリ※1万3,657円▽富山コシヒカリ1万4,950円▽鳥取コシヒカリ※1万4,300円▽鳥取ひとめぼれ※1万3,650円。


-2007年9月21日-

◆くず米・中米は「少ない」(東日本)

 くず米は出回りが本格化してきた関東のみならず、これから収穫本番を迎える北海道、東北でも「発生は少ない」との見方が有力になっている。

 6月まで順調な気象条件で分けつが旺盛だったまでは良かったが、7月の低温・日照不足で不稔が出たり、穂数などが少なく、8月、9月の好天で上位等級まで登熟というパターン。北海道産の規格外米も上川などの状況からは「例年より大幅に少ない」という声が上がっている。

 ただ、一般米の相場がどんどん下がってきていることから、中米、規格外米の相場も昨年より低価格になることはほぼ確実。19年産のくず米、中米は出回りが少ないなかでの価格低下という難しい状況の下での取引きとなりそうだ。三重、関東産のくず米は置場90円台後半で上げ一服。


-2007年9月20日-

◆新潟一般コシ相対1万5,800円スタート

 19年産新潟一般コシヒカリの全農相対価格(東京基準、裸1等)が1万5,800円に設定され、取引先に通知された。前年同期より2,000円下げのスタートとなる。

 全農新潟県本部は、取引先を集めた産地懇談会において「店頭5kg当たり2千円を切る水準に設定する」考えを明らかにしていた。

 他産地銘柄に比べて割高感があった17・18年産の販売環境を背景に、「消費者に値頃感のある水準で全量完売したい」と説明していたが、1万6千円を切る水準でのスタートはインパクトがある。


-2007年9月19日-

◆関東コシ・こまち・ふさ1等比率9割以上(8月末)

 農水省がまとめた19年産検査結果(8月末)によると、35府県で検査が始まり、総数20万9千トン、前年産同期比127%となっている。全体的にやや遅れ気味だが、前年産も出回りが遅れたことで、実績を上回った。関東管内では10万トンを超えている。等級比率は、1等65.1%、2等16.6%、3等7.7%、規格外10.6%。関東・北陸産の出回りが始まるとともに、1等比率が上昇中。

 受検数量が1万トン以上の産地銘柄は以下の通り。カッコ内は1等比率。

 【あきたこまち】▽茨城2万1,657トン(95%)▽千葉1万2,630トン(92%)【コシヒカリ】▽千葉1万5,559トン(96%)▽三重1万2,365トン(80%)▽徳島1万1,218トン(68%)▽高知1万3,931トン(4%)▽宮崎2万2,192トン(0%)【ふさおとめ】▽千葉3万0,600トン(96%)。


-2007年9月18日-

◆精米表示の特別調査、10月上旬から実施(農水省)

 農水省は、毎年出来秋に実施している表示と内容の真正性の確認に関する「精米の特別調査」について、10月上旬から19年産調査を実施する考えを明らかにした。前年度は、アサリ・まつたけなど他の食品表示調査が緊急的に入り、調査期間が年明け1月4日から2月末へとズレ込んだが、ほぼ例年並みの実施期間で行われる。

 対象は銘柄米で、調査項目は(1)表示根拠[表示事項・遵守事項の確認](2)根拠確認[内容の一致・表示根拠の確認](3)品種判別[DNA分析]と前年と同じ。さらに、今年の調査テーマには「ブレンド米」が加わる。連続して発覚するJAS表示違反に、ブレンドに関わる事例が増えていることが理由。15年産「新米表示」、16年産「銘柄米」、17年産「加工米飯」、18年産「袋詰玄米」など、その年ごと関心の高いテーマが採用されている。

 調査対象数は、小売販売店(量販店・米穀専門店)3千店規模、精米卸売業者。精米買い上げでの品種DNA分析(500点規模)で行われる予定。前年産は実施時期の遅れで調査店舗2千点、DNA分析364点と削減されたが、例年並みの規模に戻る。「ブレンド米」調査では、DNA分析は実施しない予定。


-2007年9月14日-

◆センター入札、落札業者数・値引別内訳は非公開

 コメ価格センターの19年産入札結果の公表項目は、(1)落札加重平均価格(2)上場数量(3)申込数量(4)落札数量(5)落札率(6)申込数量倍率の6項目に変更になっている。

 前年産の公表項目から、申込業者数、落札業者数、ロット値引き別の落札内訳(定期注文取引)-の3項目が非公開となった。業者倍率・落札業者数は、申込数量限度の廃止に伴うもので、申込数量倍率で傾向が判断できるためとしている。

 また、ロット値引別の落札内訳は、落札後の処理となるため落札データの公表項目から削除。後日にも公表しない。


-2007年9月13日-

◆丸広米穀と千歳屋商店に改善命令(農水省)

 農水省は12日、千葉県・習志野市の丸広米穀(株)(廣田博則社長)と、東京都世田谷区の(株)千歳屋商店(篠田充社長)の2社に対しJAS法に基づく改善命令を行った。

 丸広米穀は平成16年3月に精米表示違反で千葉県から改善指示を受けていたが、その後も不適正な精米年月日を表示した袋詰精米を販売していることが関東農政局の立入調査で判明。正当な理由なく指示に係る措置をとっていなかったとして改善命令が出された。

 また、千歳屋商店も同様に、平成18年6月に東京都からJAS違反により改善指示を受けていたが、その後も新潟コシヒカリまたは魚沼コシヒカリと表示した商品に、表示と異なる産地品種を混合して販売していたことが関東農政局の立入調査で判明、改善命令が発令されたもの。


-2007年9月12日-

◆「勇気ある決断」に痺れる(青森概算金)

 全農青森県本部が本年産米の概算金を先行他県より高値で決めたことは、同県内外に相当なショックを与えている。

 つがるロマン1万0,100円、ゆめあかり9,500円の決定に対し「よく、そこまで出すことにしたものだ。今年は、全農委託が増えるのではないか」(県内農協)という声が出ている半面、消費地ではリードしてきた青森産米の価格が全農系、商人系とも早期に下げ渋りになり「裾物としては当てにしずらくなるのかもしれない」(消費地業務用卸)との懸念も聞かれる。

 青森産米とライバル関係にある関東産雑品種新米は10~11日の出来値が1万1,800円(未検、産地置場)であり、今、青森産米があれば1万円集荷でも楽勝に売れるはずだが、1年を通じて「売れる値段」は誰にもわからない。


-2007年9月11日-

◆新潟コシ1万6千円スタート?

 「新潟産一般コシヒカリ1万6,000円スタート」の噂が流れている。全農の相対価格の話で、まだ正式アナウンスではないが、可能性は高そうだ。

 前年産は1万7,800円で始まり、販売進度の遅れで、翌春に1万7,300円に下方修正。未契約玉はさらに下げを余儀なくされている。本年産は、「徹底的に売り抜く」として仮渡金を1万円(前年産比▲5千円)に引き下げており、シェアの回復・拡大を図るため、競合する他県産銘柄米との価格差縮小を行うと生産者にも明示している。

 すでに出回りが始まった関東産コシヒカリなどは前年同期より600円安(最終比400円安)の1万4,400円で設定されているが厳しい情勢で、冒頭の噂も信憑性がある水準。これまで200円、500円(最終はいずれも200円)格差を付けていた岩船・佐渡産の設定は、圧縮または廃止される公算もありそうだ。

 一方、魚沼産は前年産入札の落札加重平均が裸2万8,216円となっており、前年産と同じ2万4千円からのスタートを予想する声が出ている。


-2007年9月10日-

◆台風被害で「やや不良」にも?

 台風9号の来襲時期と進路は関東、南東北のコメ産地にとっては最悪に近いパターン。稲の冠水などすぐ目に見える被害以上に、長時間続いた強風によって収量・品質に大きな影響が出ることが心配される。

 関東、東北を縦断するコースを通っただけに、全国の水稲作況が「やや不良」まで下がる事態もありえる。今年はラニーニャ現象の影響で、台風発生の巣の位置が、日本列島に近いところにあるとされ、後続の台風についても油断できない。

 先週下げが進んでいた関東コシの相場は、台風による「水入り」で下げ一服となるかもしれない。あまりにも下げ足が速いと、買い手の方が「恐くて買えない」状態になるとの危惧もあった。


-2007年9月7日-

◆18年産の在庫消化さらに進む(コメ卸7月末)

 コメ卸(旧登録卸)の7月末在庫は、速報値ベースで16万9千トン、前月末より3万3千トン削減した。

 消化が進んでいるのは18年産で前月よりおよそ2万トン減。16~17年産、未検米も各3~5千トン減っている。年産別在庫水準(推定)は、▽18年産14万トン▽17年産1万トン▽16年産1万トン▽未検米1万トン…程度。

 年間4千トン以上を取扱う大手小売の在庫は2万4千トンと、まだ前年同期より3千トン多い。


-2007年9月6日-

◆台風9号、関東・北陸コシの出回りに影響も

 気象庁は9月5日、台風9号が勢力を強め「強い台風」になり、6日夜には暴風域を伴ったまま関東地方から東海地方の太平洋沿岸にかなり接近するおそれがあるとして、暴風・高波・大雨に警戒を呼びかけた。

 農水省も4日、東北・関東・北陸・東海農政局及び北海道農政部に対して、台風接近・通過に伴う農産物等の被害防止に向け、事前対策・被害拡大防止対策など技術指導の徹底を通知した。

 関東の早期地帯はこまちなど早生品種の収穫が終盤、コシがこれから最盛期に入るところ。また、北陸では生育が例年より遅れ、早期品種の出回りが始まったばかりで、コシヒカリは早い地区で週末から収穫が始まるタイミング。台風のコースによっては、出回り時期がずれ込む可能性もありそうだ。品質への影響も懸念される。


-2007年9月5日-

◆東北産未検は着1万1千円台

 東北から18年産未検(今ずり)がぽつぽつ出ているが、これが関東着1万1,600~900円。ただし、台数は多くないので東北での県間売買が中心。関東では、千葉ふさおとめなどの未検が同1万2,300円くらいで出回っている。ふさおとめの出回りはピークを過ぎたが、コシ新米の未検(置場1万2,500円)などは徐々に増えている。

 この時期の珍現象だがコシ、こまち、ひとめの18年産は関東の19年産より高い。卸の余剰処分は一巡して売り物が少ないためで、宮城ひとめ、秋田こまちは1等着1万4千台半ばとなっている。西日本でも同様で、ヒノ、キヌ、日本晴とも総じて関東、三重の新米より高い状態にある。


-2007年9月4日-

◆東北の概算金、「足並み揃えて1万円」が濃厚

 来週には早い地区で収穫時期を迎える東北各県。その現場でホットな話題といえば概算金の設定。県単位におけるJA間の協議のみならず、東北全体での活発な論議が繰り広げられており、その話し合いを総合すると「東北は足並みを揃えて対応する方向に集約されつつある」(系統関係者)模様だ。全農全国本部から出されている厳しい情勢説明は分かるものの、生産者の実態を目の当たりにしている集荷現場としては、スンナリ受け容れられないというのがほぼ共通した反応。

 それに火を付けるように、「新潟は別としても北陸の決定(コシヒカリの概算金1万1,000~2、000円を全国本部が承認)が伝わって、一気に大騒ぎになってしまった」(他産地県本部)というのがこれまでの流れ。それまでに全国本部のいうことを聞いて7千円で決めてスタートした産地は、いまさら変更することも出来ないが、「これから決める東北各県は最低1万円というところで決着するのではないか。そんな雰囲気が伝わってくる」(同)見方を裏付けるように、「(各県の主力銘柄は)最悪9千円というのも考えられないわけではないが、足並み揃えて『1万円』」(東北系統筋)が濃厚となっているようだ。


-2007年9月3日-

◆新米価格、最初の正念場

 いよいよ東北各県の農協集荷価格が決まってくる。秋田県内では「本命は1万円」と予想する声が聞かれるが、他県産でも「内金7千円は、ありえない」との見方が広まっている。

 一方、全農の販売の方も今週が最初の関門。センター入札で全量不落に終わった千葉・三重コシの価格を売れず・下げずのまま据え置く従来型になるか、需要を踏まえたうえで修正するか、5日の入札が試金石となろう。
 商人集荷米では茨城産あきたこまちの売り物が30、31日は引っ込み気味で、千葉産こまちも1万2,700円(1等産地置場。以下同じ)と30日から100円反発。対照的にちば28号は1万2,300円が通りにくく100円下げも。

 コシヒカリでは三重産が下値を1万2,900円下げた。今週出回りが増える関東産が三重産に鞘寄せするのか、あるいは三重産が売り一巡から反発するのか?




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